悲しきボッティチェリ

ベネチアの翌日はフィレンツェという強硬スケジュール。ベネチアへの往復でフィレンツェ通っているのでそこに宿泊すれば問題ないのだがホテルがローマなので仕方ない。今回の電車はトレニタリア。いつものテルミナ駅に行き8:10発の電車を探すが、ない!予約表を見直すとなんと出発地がローマのもう1つの駅になっていた。日本で予約する時ローマに2つも駅があるとは考えず(馬鹿だねえ)都市名だけ見て予約してしまったらしい。出発時間も迫っているし、とにかく乗って不足分を払えばいいかということになった。イタリアの駅は日本のように改札ではなくゲートから入る。ゲートのお兄さんに説明しようとしたら「別に一緒だからいい」とそっけない返事!とりあえず「ほっ!」電車はイタロのように娘と隣り合わせの座席ではなく、テーブルをはさんで向かい側。4人席なので隣には知らない人が座る。ちょっと居心地がわるい。まあ1時間半の旅なので何とか過ごす。

正直なところ前日のベネチアがとても感動的だったので、フィレンツェはあまり感動しないのではと不安だった。しかし、ここがイタリアの凄さだと思うのだが、どの街もそれぞれの魅力がある。フィレンツェ然り!メディチ家がその富を使って当時の最先端の技術で精鋭の芸術家たちと作った街!花の聖母教会のドゥオモ、鐘楼、礼拝堂は圧巻だった。ずっと見ていても飽きない。ドゥオモに上って見下ろす赤茶色の屋根屋根と街を囲む緑の丘と糸杉も美しい。ベネチアとは全く違った趣だ。

実はフィレンツェに来たかったのは以前ここを舞台とした辻邦夫の「春の戴冠」という小説を読んだからだ。ルネサンスのフィレンツェを舞台としてその歴史に翻弄されつつ美を追求するボッティチェリとその親友を中心に物語は進む。それを読んでボッティチェリの「プリマヴェーラ(春)」をこの目で見たくなった。ウフィツィ美術館も事前予約。待たずに入れた。しかし、しかしあまりに期待が大きすぎたのか、あまりに混雑していたからか、美術館が大きすぎてボッティチェリにたどり着く前に疲れ果てていたからか・・・思ったほど感動しなかったのが悲しい。「ふうん、これね!」っていう感じ。あんなに見たかったのに!やはり2時間とかであのでかい美術館を見ようとしたところに無理があったのかもしれない。それから、絵画の前でスマホで写真を撮る人の多いこと。これも興醒めの理由かも。私も全然美術分からないし、有名絵画だけ見ればというような「おのぼりさん」的な気持ちで美術館行っているので、別に通を気取るつもりはないのだけれど絵の前でパシャパシャって・・・どうもねえ。とにかく次回は(あれば)じっくり時間をかけて見たいと思う。できればオフシーズンに。

本当はメディチ家礼拝堂やアルノ川を越えたピッティ宮殿も行きたかったが、今回はショッピングしたいという娘に付き合う。滞在した3つの街の中でフィレンツェが一番買い物し易かった。街がローマ程大きくなく、ベネチア程ごちゃごちゃしていないからかな。娘が行きたかったコスメのお店のように若者向けのお店も多かった。買い物の間にここでもジェラート!思ったよりも肌寒い陽気だったがジェラートは美味しい!フィレンツェは御飯も美味しかった。

19:00頃の電車でローマに帰る。

フィレンツェ街並み

ドォウモから見下ろす

花の聖母教会礼拝堂